自宅でできる!簡単な健康維持と介護予防のヒント
豊かな老後のために、健康はかけがえのない財産です
誰もが安心して、そして自分らしく歳を重ねたいと願っていることと思います。老後生活を考える上で、資金の準備はもちろん大切ですが、それと同じくらい、いえ、もしかするとそれ以上に大切なのが「健康」ではないでしょうか。
体が元気であれば、好きな場所へ出かけたり、趣味を楽しんだり、大切な人たちと笑い合ったりと、活動的な日々を送ることができます。しかし、健康に不安が出てくると、できることが限られてしまい、日々の生活に寂しさを感じたり、将来への漠然とした不安が大きくなったりすることもあります。
「自分は大丈夫だろうか」「将来、誰かの助けが必要になったらどうしよう」といった不安を、心の中で抱えていらっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、ご安心ください。健康を維持し、介護が必要な状態になることを予防するために、今日からでも自宅で簡単に始められることがあります。難しいことや特別な道具は必要ありません。ちょっとした心がけや、簡単な運動、日々の生活の工夫が、将来の安心につながる大きな一歩となるのです。
このコラムでは、ご自宅で無理なく続けられる健康維持と介護予防のヒントをいくつかご紹介します。
健康寿命を延ばすためにできること
ニュースなどで「健康寿命」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは、ただ長生きするだけでなく、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことです。健康寿命を長く保つことができれば、それだけ長く、自立した自分らしい生活を送ることが可能になります。
では、健康寿命を延ばすために、具体的にどのようなことができるのでしょうか。
1. 無理なく続ける「ゆるやかな運動」
特別なトレーニングや激しい運動は必要ありません。ご自宅で、あるいは近所を歩く際に、少し意識するだけでも十分効果があります。
-
自宅でできる簡単な運動:
- 椅子に座って足上げ: 椅子に座ったまま、片足ずつゆっくりと膝を伸ばして数秒キープします。太ももの筋肉を鍛え、歩く力を維持するのに役立ちます。
- かかと上げ: 何かにつかまって立ち、つま先立ちをするようにかかとをゆっくり上げ下げします。ふくらはぎの筋肉を鍛え、つまずき予防になります。
- その場足踏み: テレビを見ながらなど、その場で軽く足踏みをします。転倒の心配が少なく、気軽にできます。
- 軽いストレッチ: 首や肩、手足の関節をゆっくりと回したり、伸ばしたりします。血行が良くなり、体の柔軟性を保つのに効果的です。
-
外出できるときは少しだけ意識:
- 近所へ買い物に行く際、いつもより少しだけ遠回りしてみる。
- エレベーターではなく、階段をゆっくりと一段ずつ上り下りしてみる。
- 散歩の際に、腕を大きく振って歩くことを意識する。
大切なのは、「毎日続けること」です。一度にたくさんやるよりも、短時間でも良いので、習慣にすることを目指しましょう。体調が優れないときは無理せずお休みしてください。
2. バランスの良い食事と水分補給
私たちの体は、食べたものからできています。バランスの取れた食事は、体を作るだけでなく、病気になりにくい体を作るためにも非常に重要です。
- 様々な食品をバランスよく: 毎日、主食(ご飯やパンなど)、主菜(肉、魚、卵、大豆製品)、副菜(野菜、きのこ、海藻類)を揃えることを意識しましょう。様々な種類の食品を食べることで、必要な栄養素をまんべんなく摂ることができます。
- タンパク質をしっかりと: 筋肉や骨を作るために、タンパク質は特に大切です。肉、魚、卵、豆腐、納豆などを毎日の食事に取り入れましょう。
- 野菜はたっぷり: ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富です。様々な色の野菜を食べるように心がけると良いでしょう。
- 減塩を心がける: 塩分の摂りすぎは高血圧の原因となります。だしの味を活かしたり、香辛料や薬味を使ったりする工夫をしてみましょう。
- こまめな水分補給: 特に夏場は、喉が渇く前に意識して水分を摂ることが大切です。水やお茶をこまめに飲みましょう。
食事の準備が大変な時は、宅配サービスや地域の配食サービスなども活用できます。一人で食事をするのが寂しいと感じる場合は、誰かと一緒に食べる機会を持つことも大切です。
3. 脳の健康維持と生きがいづくり
体の健康だけでなく、心の健康や脳の健康も、豊かな老後には欠かせません。
- 頭を使い続ける: 新聞を読む、本を読む、日記をつける、簡単な計算をする、将棋や囲碁、トランプなどをする。指先を使うことは脳への良い刺激になります。
- 趣味や関心を持つ: 何か夢中になれる趣味を持つことは、生活にハリを与え、心を満たしてくれます。絵を描く、俳句や川柳を作る、ガーデニング、手芸など、どんなことでも構いません。
- 人との交流を持つ: 家族や友人と電話や手紙で連絡を取り合う、地域の集まりに参加するなど、人とのつながりは、孤独を防ぎ、精神的な健康を保つ上で非常に大切です。会話をすることは、脳の活性化にもつながります。
地域の公民館や交流センターでは、高齢者向けの様々な講座やサークル活動が行われていることがあります。興味のあるものに参加してみるのも良いでしょう。
4. 地域のサービスや相談先を知っておく
将来的に介護が必要になったらどうしよう、一人暮らしが不安になってきた、といった心配事が出てきたら、抱え込まずに相談することが大切です。
- 地域包括支援センター: 各市区町村に設置されており、高齢者のための身近な相談窓口です。介護のこと、健康のこと、暮らしのことなど、様々な相談に乗ってくれます。
- かかりつけ医: 体の不調はもちろん、健康に関する疑問や不安があれば、まずはかかりつけのお医者さんに相談してみましょう。
- 自治体の窓口: 高齢者福祉に関する情報を提供していたり、介護保険サービスの申請手続きを支援してくれたりします。
これらの相談先を知っておくだけでも、いざという時の安心につながります。
まとめ:小さな一歩が大きな安心へ
老後の健康維持や介護予防は、決して難しいことばかりではありません。毎日できる簡単な運動を少しずつ取り入れる、バランスの良い食事を心がける、頭と体を使い、人とのつながりを大切にする。こうした小さな積み重ねが、将来の大きな安心につながります。
漠然とした不安を感じていた方も、この記事を読んで、今日からできることを見つけていただけたら幸いです。無理せず、ご自身のペースで、楽しみながら取り組んでみてください。
豊かな老後は、資金計画だけでなく、心身の健康があってこそ実現します。このコラムが、皆様がいつまでも自分らしく、安心して毎日を過ごすための、ささやかなヒントとなれば嬉しいです。