老後の固定費を減らす:安心につながる「やさしい」見直し方
老後の固定費を減らす:安心につながる「やさしい」見直し方
老後の暮らしにおいて、お金に関する不安はつきものです。特に、貯蓄が少しずつ減っていく中で、「このままで大丈夫だろうか」「何か思わぬ出費があったらどうしよう」といった気持ちを抱く方もいらっしゃるかもしれません。
このような漠然とした不安を少しでも和らげるために、日々の生活の中でできる工夫はいくつかあります。その一つが、毎月決まってかかる「固定費」を見直してみることです。固定費は、一度見直しを行えば、その後も継続的に家計の助けとなる可能性があります。
ここでは、複雑な手続きや難しい知識は必要なく、どなたでも取り組みやすい「やさしい」固定費の見直しのヒントをご紹介します。
「固定費」とは何でしょうか?
まず、固定費とはどのような費用を指すのでしょうか。簡単に言えば、毎月または毎年、ほぼ決まった額がかかる費用のことです。例えば、次のようなものが挙げられます。
- 電気代
- ガス代
- 水道代
- 電話料金やインターネット接続料などの通信費
- 保険料(生命保険や医療保険など)
- 住まいに関わる費用(家賃や住宅ローン、固定資産税など)
これらの費用は、食費や趣味の費用のように毎月変動が少ないため、普段はあまり意識しないかもしれません。しかし、だからこそ、少し見直すだけで長期的な安心につながる可能性があるのです。
なぜ固定費の見直しが大切なのでしょうか?
固定費の見直しが大切な理由は、主に二つあります。
一つ目は、節約の効果が継続するという点です。食費を一日だけ節約しても、来月の食費はまたかかります。しかし、例えば毎月の通信費を見直して安くできれば、その効果は解約しない限りずっと続きます。
二つ目は、家計の「安心」につながるという点です。毎月の支払いが少しでも軽くなれば、「今月はいくら使ってしまった」といった心配が減り、心にゆとりが生まれます。これが、老後の漠然としたお金の不安を和らげることにつながります。
どんな固定費が見直せる?やさしいヒント
では、具体的にどんな費用を、どのように見直せるのでしょうか。複雑なことはせず、まずは「これはどうなっているのかな?」と確認することから始めてみましょう。
電気やガス料金
以前は決められた会社からしか買えませんでしたが、今は様々な会社が電気やガスを供給しています。これにより、料金プランを選べるようになりました。
- やさしいヒント1:検針票を確認してみる 毎月届く検針票には、使った量や料金が書いてあります。これを保管しておくと、どのくらい使っているかが分かります。
- やさしいヒント2:ご家族や相談窓口に尋ねてみる 「電気やガスについて、何か安いプランはないのかしら?」と、お子さんやお孫さんに相談してみるのも良い方法です。電力会社やガス会社の相談窓口に電話で問い合わせてみることもできます。「一番自分に合ったプランはどれですか?」と聞いてみてください。無理に切り替えなくても、情報を得るだけでも安心につながります。
- 簡単な省エネも: 電気の消し忘れをなくす、エアコンの設定温度を適切にする(夏は少し高め、冬は少し低めにする)など、普段の生活でできる小さな心がけも大切です。
通信費(電話、インターネット、携帯電話)
毎月支払っている電話料金やインターネットの料金も、見直しのポイントになることが多いです。
- やさしいヒント1:契約内容を確認してみる 今は使っていないオプションサービス(例えば、留守番電話以外の追加サービスなど)に加入したままになっていないか、確認してみましょう。契約書が見つからない場合は、電話会社やインターネット会社に電話して問い合わせることができます。
- やさしいヒント2:自分の使い方に合っているか考えてみる 電話をかけることが少なくなったのに、かけ放題プランに入っているなど、ご自身の使い方と契約内容が合っていない場合があります。「私の電話の使い方だと、どのプランが一番お得ですか?」と問い合わせてみましょう。
- 高齢者向けプランも: 携帯電話会社の中には、高齢者向けの分かりやすい料金プランを用意しているところもあります。これも電話で問い合わせてみたり、ご家族に調べてもらうのも良いかもしれません。難しい手続きは避け、まずは情報収集から始めてみてください。
保険料
生命保険や医療保険など、毎月保険料を支払っている方もいらっしゃるでしょう。
- やさしいヒント:加入している保険の内容を再確認してみる どんな保険に加入していて、何歳まで保障されるのかなど、保険証券を見て確認してみましょう。必要以上に多くの保険に入っていたり、既に必要のない保障(例えば、お子さんが独立した後の学資保険など)に加入している場合もあります。 ただし、保険の見直しは専門的な知識が必要な場合もあります。ご自身だけで判断が難しい場合は、信頼できるご家族に相談したり、保険会社の担当者や相談窓口に問い合わせて、「今の私にこの保険は合っていますか?」と尋ねてみることから始めてください。無理な解約は禁物です。
まずは「知る」ことから始めてみましょう
固定費の見直しと聞くと難しく感じるかもしれませんが、まずは「自分が毎月何にいくら払っているのか」を知ることから始めてみましょう。
- 書き出してみる: ノートに、毎月支払っている固定費の項目と金額を書き出してみます。(例:電気代 ○○円、ガス代 ○○円、電話代 ○○円…)
- 気になるところに目星をつける: 「これはもう少し安くならないかな?」と思う項目に印をつけます。
- 問い合わせてみる: 気になった項目について、契約している会社に電話で問い合わせてみます。「今の契約内容を確認したいのですが」「私に合ったプランについて教えていただけますか」などと尋ねてみてください。
無理なく、できることから
全てを一度に見直そうとすると大変です。まずは、一つか二つの項目に絞って、「知る」ことから始めてみてください。問い合わせの電話も、一度で全てを解決しようと思わず、分からなければ遠慮なく聞き返したり、もう一度電話したりしても大丈夫です。ご家族に手伝ってもらうことも、もちろん良い方法です。
毎月の固定費を少しでも減らすことができれば、それはそのまま将来の安心につながります。そして、節約できたお金を、趣味や健康維持、ご家族との時間など、ご自身の豊かな老後生活のために使うことができるかもしれません。
ぜひ、無理のない範囲で、できることから始めてみてください。それが、お金の不安を和らげ、穏やかな毎日を送るための一歩となるはずです。